【超!短】何か変な話
するとそこには、真っ白い着物を着た、大変美しい若い女が立っていた。



蔵之介は言い伝え通りの女の格好に、本当に雪女なのかも知れないと不安になった。



しかしもし雪女でなければ、こんな美しい女と一晩を共にしない手はない。



蔵之介は女を見てニヤつくと、名案を思い付いたような顔をした。


「…あー…それはそれは大変で。こんな家で良ければ上がって下さい。」



美しい女は蔵之介の言葉に深々と頭を下げると、家の中に入って来た。



蔵之介の名案とは、女に鍋を食べさせる事だった。


言い伝えによれば、雪女は温かい食事は一切とらない。


熱いモノを口に入れればたちまち自分が溶けてしまうからだ。



「寒かったでしょう。これを食べてあたたまりなさい。」


蔵之介はそう言って、皿に鍋の汁や具を盛ってやった。




もしこれを食べれば雪女ではないし、食べようとしなければ雪女の可能性は高い。


すると女は

「食事までお世話になる事は出来ません。」

と言って鍋を拒んだ。
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