男装人生


寮も近づき、私は足をゆるめた。

さっきの事を思い返しながら歩く。


藤原さんいい人だったなぁ。
もう大分後ろの方に居るはずだ。

クラス一緒だったらいいなぁ・・・



ふと薄気味悪く笑うメガネの事も思い出した。

はぁ、せっかく気分よかったのに・・・



きっと私に腹を立ててるだろう。

逆恨みってやつだ。

また奴に会うことがあるんだと思うと背筋がゾッとした。

出来ればもう会いたくない。



でも何で奴は私を怪しいと思ったんだろう。

この日の為に自慢の長かった髪もばっさりと切り、怜李と言う名も怜悧(レイリ)と漢字だけだけど変えたのに。



気づかないうちに女の子らしさが出てたとか?

それはないか。

いや、でも、少し曲げただけで折れてしまいそうとか言ってたし。


何かへまをやったんじゃないかと思うと気が気じゃない。



後、初めて私の顔を見た時の表情。

一瞬だけハッとした、まるで私を知っているかのような反応だった。

でも、そんなはずない。

私の記憶にあんな綺麗な髪の毛の男の子はいなかったと思う。

あ、そういえば男友達さえいないや。


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