男装人生
合宿といえば、長時間一緒に同じ部屋のはずだ。
今までは圭也一人気を付けていたら大丈夫だったが、数人相手では正直自信ない。
合宿場所も部屋ならまだしも・・・
「柔道合宿で使っていたコテージが使えるだろうしな。」
ノーン‼
そこってお風呂とか大浴場じゃないよね?
反対しとかなきゃ。
「「合宿はちょっと・・・」」
鈴音と、かぶった。
なぜか表情に焦りがみえる。
「はい?」
思いっきり怪訝な顔で私たちを見遣る恭。
いつもは優しい声も少しトゲがある。
「何二人して、何言ってるんです。この学園、舐めてるんですか?皆、どれだけ勉強して、自分の立ち位置を築いたと思って・・・」
え?
あ、そっか。
珍しく怒っている恭に、私たちは項垂(ウナダ)れる。
勉強教えてもらっている私たちが言える立場じゃないよな。
舐めていると、思われても仕方ない言葉だった。
多少のリスクを冒(オカ)してでも、この場所にいたいと思ったのは誰だったか‼
そう、自分自身だ。
Dクラスに移るなんて、
絶対に嫌だよ。
.