男装人生
圭也の頬をつまんだまま、鈴音の方に身体を向き直した。
「圭也は俺になにしてたんだよ。」
「知らない。でも、ちゃんと嫌がるって忠告はした。」
鈴音はさして興味も無さそうに、自分の爪を触りながら答える。
再び圭也の方へ向いて、事情聴取(ジジョウチョウシュ)の体制満タンだ。
「おい、圭也。言い訳したいのなら今のうちだぞ。」
「イテッ、、だ、だって、あんまりにも柔らかそうだったからさ。」
「意味がわからない。」
「怜悧の頬っぺただよ。」
「は?」
「妹を思い出しちゃってさ~」
妹?
意外だ。
圭也は末っ子っぽいのに。
「ふーん。お兄ちゃんなんだ。」
「ネーちゃんが3人と年の離れた妹が1人。めっちゃ可愛いんだぜ‼」
あー圭也ってお姉さんいそうな感じ。
「って、そうじゃなくて、寝ているのに触んなッ‼」
「イテテッ、もう寝ている時はしないから放してくれ~」
「お、き、て、る、と、き、も‼」
「イテッ、わかったから‼」
怜悧は渋々頬の手を放した。
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