男装人生



圭也の頬をつまんだまま、鈴音の方に身体を向き直した。


「圭也は俺になにしてたんだよ。」



「知らない。でも、ちゃんと嫌がるって忠告はした。」


鈴音はさして興味も無さそうに、自分の爪を触りながら答える。



再び圭也の方へ向いて、事情聴取(ジジョウチョウシュ)の体制満タンだ。



「おい、圭也。言い訳したいのなら今のうちだぞ。」


「イテッ、、だ、だって、あんまりにも柔らかそうだったからさ。」


「意味がわからない。」


「怜悧の頬っぺただよ。」


「は?」


「妹を思い出しちゃってさ~」


妹?
意外だ。
圭也は末っ子っぽいのに。


「ふーん。お兄ちゃんなんだ。」


「ネーちゃんが3人と年の離れた妹が1人。めっちゃ可愛いんだぜ‼」


あー圭也ってお姉さんいそうな感じ。



「って、そうじゃなくて、寝ているのに触んなッ‼」



「イテテッ、もう寝ている時はしないから放してくれ~」


「お、き、て、る、と、き、も‼」


「イテッ、わかったから‼」



怜悧は渋々頬の手を放した。


.
< 189 / 407 >

この作品をシェア

pagetop