男装人生
ドドドドッとどこからかこちらに向かう足音が聞こえる。
バターン‼
「怜悧ッ‼」
うおっ
光が部屋に飛びこんできた。
「ビビる~」
圭也と怜悧は若干引き気味で光を見遣る。
すると光はみるみるうちに真っ赤に染まった。
「おい、お前がヘルプとか言うからだろ⁉…怜悧になにかあったのかと思って。」
「八巳、ウケるな~」
「もう帰る。」
拗ねた光は回れ右をして帰ろうとする。
「え~?落ちている怜悧をこのままに帰るつもりかぁ?朝ごはんも食べようとしないんだよ。」
また、くるりと回転して怜悧の隣に少し離れて腰かけた。
光って心配性だから、内心ハラハラだろう。
ちらりと光をみるが真っ直ぐ前を見ていて視線は合わない。
「いつまでそうしているつもり?」
「え?」
「何か少しでも口に入れた方が頭の回転もよくなるだろ?」
「そうだけど。」
入りそうにないんだからしょうがないじゃないか。
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