男装人生
「まぁいいけど、アイツはきっと食べるだろうね。」
「アイツ?」
「鈴音。」
鈴音?
なんで・・・
「Aクラスに入る為には、どんな小さなことだって手を抜かないらしいし。」
私だって手を抜いてるつもりはない。
朝ごはんだって食べられないだけで・・・
鈴音がいい子なのはわかっている。
でも、どうして今言うのか。
怜悧のテンションがさらにガクッと下がった。
悔しくて上唇を噛む。
「鈴音と俺は違う。」
もしかして。
光は鈴音の方が優秀だって気づいてしまったのかもしれない。
ここ数日の鈴音の成長は凄まじいものだった。
競ったことはないけど、鈴音の方が勉強のセンスがある。
1度覚えたことは忘れないし、応用がきく。
聞けば今まで勉強してなかっただけだったとのことだ。
私とは大違い。
だから、
だから怜悧と鈴音を比べたりするの?
「もう俺に構わないでいいよ。」
「はぁ?」
「れ~いり~?何泣きそうになってるんだよ~。八巳イジメんな‼」
困り顔をしながら圭也が近づいてきた。
「イジメてない。」
心外だと言いたげに圭也を睨む光。
「ただ、僕は怜悧に少しでも食べさせてやりたいだけだ。」
”絶対逆効果だ。”
おバカな圭也でさえもそう思っていた。
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