男装人生
1-A
静かな教室内では、自身の身体能力を最大限に使ってシャーペンを素早く動かし、机にかじりつく生徒達。
1分1秒が命取り。
進学校のテストとはそういうものだ。
張りつめた緊張感の中、鮫島の"止め"の合図で一斉に止まる。
そして、答案用紙を回収し終わったその瞬間、緊張の糸が切れたかのように一気にざわめきだした。
やっと終わりはしゃいでいる者もいれば、ぐったりとしている者もいる。
「れ~いりッ‼どうだったかぁ?」
隣からはしゃいでいる代表圭也が、弾んだ声で喋りかけてきた。
テストの後とは思えないくらいの明るさだ。
「聞くな。わかんねーし。」
「頼りねー返事だな~。」
うぜー
てか、
「なんでそんなはしゃいでんの?」
「はぁ?明日から3日間休みだからに決まってるだろ~?怜悧って、授業もホームルームも真面目に聞いてるように見えて、全く聞いてないよな。ははッ」
腹立たしいがごもっともです。
テストの事でいっぱいですっかり忘れてました。
この学園は少し特殊で、膨大なテスト科目を1日で終わらせてしまう。
その代わり、3日間の休みが与えられるのだ。
全教科なんて最後まで集中力がもつはずがないのに、とことん追い詰める。
せめて2日に分けてほしいものだ。
概に外の景色は真っ暗になっていた。
「おーい。うるせーぞぉー。・・・いいよなぁ。お前らは休みで。俺は今日からずぅーっと採点しなきゃいけないっつーのに。」
どうやら休みは生徒たちだけのようだ。
鮫島がボヤいている。
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