男装人生
「貴方、今は樹里しか居ないんだからその喋り方やめたら?」
「喋り方?」
「男言葉の事よ。」
「あぁ、つい癖(クセ)でさ。」
最近、女らしい口調は気恥ずかしく感じるんだよな・・
「その言葉使い、ずっと抜けなくなるわよ。淑女たるもの、どこにお嫁に行っても恥ずかしくないようにしとかなきゃ。」
「はい。すみません。」
なんだか、女学園にいたシスターと話しているみたいだ。
そういえば、私が聞かん坊なばかりにちょくちょく説教受けたっけ。
「まぁ、どういう理由で男子校の高龍学園にいるのか知らないけど、少しは樹里の役に立ちそうね。」
「へ??」
「怜悧、ついてらっしゃい。」
うわぁ~
なに企んでいるんだよーー
樹里ちゃん家にいる以上樹里ちゃんに従うほかない。
私は大人しく後を続く。
樹里ちゃんはベットの脇にある、生活感のある部屋に不釣合いな立派な掛け軸の前で足を止め、ひらりとめくる。
何故かそこには小さな入口があった。
だが、狭い入口から中に踏み入れると人が2人入るくらいの四角い小さな部屋。
行き止まりだ。
どうするのかと樹里ちゃんを見ていれば、右側の何もない壁の左側の方を触ると壁がずれ、回転式で扉が背中にせまる。
急いで樹里ちゃんに続くと、5畳くらいの小さな部屋が現れた。
今度は隠し扉かよっ‼
忍者屋敷みたいな家だな・・・
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