男装人生
客間に入ると、掘りごたつにチョコンと腰かけ、お茶を啜(スス)る圭也が目に映る。
「あ、怜悧。」
怜悧たちが入ってきた気配がしたのか、掘りごたつの下の足をパタパタさせながら嬉しそうにこちらを振り向く。
なんか犬みたいだ。
きっと、大型犬。
ラブラドールレトリバーあたりか?
「あ、怜悧じゃねーよ。何しに来たんだよ。」
「何しにって・・・。せっかく一緒に旅行来たのに、いなくなるし。しかも帰ってこねーし。」
嬉しそう表情が一変してむすっとした表情になる。
「ハルもミッキーも由紀ちゃんもいるだろ。あ、由紀ちゃんとは仲良くなれたのかよ。」
「・・・。俺は怜悧と遊ぶ予定だったんだ。」
仲良くなれてないんだな。
圭也と初めて会った時はチャラって思ったけど、意外と硬派みたいだ。
いや?ただのヘタレか?
「せっかく女の子と仲良くなるチャンスなのに。」
「俺、カッコイイからその気になれば女の子なんてすぐ仲良くなれるし。」
うざっ
「俺は樹里ちゃんと今日観光するから、帰れ。」
「イヤだ。」
「帰れ。」
「イヤダっ‼」
「まぁまぁ、今日は圭也くんも一緒に観光したらいいんじゃないかしら。」
私達のやりとりを呆れた様子で見ていた樹里ちゃんが提案した。
「樹里ちゃん、ありがとなっ‼」
圭也は大喜びしている。
ダメだと言っても折れ無さそうだし、しょうがない。
でも、そこまで喜ぶことだろうか。
樹里ちゃんが耳元へ来て、こそっと囁く。
「あの子、貴方に気があるんじゃない?」
はっ⁉
「まさか‼」
全く、どいつもこいつも・・・
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