男装人生
「それから、樹里は凛さま一筋よ。お父様に頼んで、凛さまのお家に遊びに行ったり、許婚にしてもらったり・・・」
うわぁ~樹里ちゃん、すげー
凛のこと大好きなんだな。
30分くらい凛の話が続く。
「凛さまのことは話すだけで幸せだわ。でも・・・・・凛さまと一緒にいれて、許婚にもなれたのに、なんでこうなってしまったのかしら・・・」
さっきまで楽しそうに話していたのに、悲しそうな顔で眉を寄せる。
「・・・私に思いっきり笑いかけてくれたのは、あの幼稚園の一度きりなのよ。」
ずっと一緒にいる大好きな幼馴染なのに笑顔一つ向けてもらえないのって切ないだろうな・・・
「・・・・」
「全て強引で嫌われるようなことしてるのは自分でもわかってるわ。・・・・でもそうしないと何も接点が無くなってしまう気がするの・・・」
近くにいた樹里ちゃんがそう言うとそんな気がしてくる。
「樹里じゃ・・・やっぱり駄目なのかしら。」
他人の私でも樹里ちゃんと凛にある距離感が分かった。
しかも、優しい凛が態度に表している。
応援したい気持ちはいっぱいなのに、心の奥で叶わない恋なんじゃないかなんて考えてしまう。
10年もそばにいて悪化する関係ってどうしようもないんじゃないかって・・・
今まで恋なんてしたことない私には樹里ちゃんの気持ち全ては分かってやれない。
「まだ、わからないよ。」
結局、気休めしか言えなかった。
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