男装人生
「怜悧っ‼急げー‼」
来た時よりも大分多くなった荷物を抱え、駅に向かって全速力で走る私達。
お見送りをすると言ってくれた、樹里ちゃんや、莉歩ちゃん達も巻き込んでしまっていた。
「はぁ、はぁっ、俺っ、ちゃんと10時に迎えに来るって言っただろ?・・・何時まで寝てんだよ~っ」
「ごっ、ごめんって、起きれなかったっ」
樹里ちゃんと夜遅くまで語り合い、寝落ちし、圭也が迎えに来る10時まで爆睡だったのだ。
本来、10時に家を出て余裕のある列車の時間はギリギリになってしまっている。
「も~。先に駅行っとけば良かったぁ~」
ゼイゼイと息を切らしながらハルが文句を言う。
「ごめんっ・・・乗り遅れたら次の列車?」
「次の列車もなにも、乗り遅れたら最悪だよ。午後は成績発表だろ。」
「えっ⁉そうなのっ⁉」
聞いてないよー。
「なんで知らないんだ。」
圭也に呆れられた・・・
ほんとなんで、私はいつも知らないんだろ・・・
てか、成績発表か・・・イヤダな。
「・・・後少し。頑張れ。」
凛に励まされ、走るスピードを上げる。
電柱の無い町を走り抜け、駅の階段を上る。
出発まで後5分。
足を止め、樹里ちゃん達を見る。
列車に乗り込む前にお別れの挨拶をすることにしたのだ。
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