男装人生
お土産を握りしめ去っていく希夜の後ろ姿を見送る。
お礼言われたはずなのに、なんか言われた気がしないな。
正直、後が怖い・・・
「怜悧、旅行でリフレッシュできた?」
「架衣斗っ‼」
きらっきらの架衣斗がにこやかな表情で近づいてくる。
まっぶしーーー‼
3日ぶりの架衣斗は心臓に悪い。
凛の実家の旅館のことや、樹里ちゃんのこととか話したいことがいっぱいなのに、まず出てきた言葉が"お土産~"だった。
「ありがとう。あの町は俺も一度行ったことがあるけど凄くいい所だよね。」
「うんうん‼観光地ばっかで楽しかった。」
「俺もまた行きたいなー」
架衣斗と旅行行けたら楽しいだろうな~
なんて・・・
危ない危ない‼
一瞬でもデートだなんて思っちゃった。
今は男だ、玲李っ‼
「ぷっ、また怜悧、百面相してる。」
「へっ⁉」
「怜悧の頭の中は賑(ニギ)やかだろうね。」
「えぇ⁉」
「怜悧の事ですから、俺達に言えないことばかり考えてるんですよ。」
「ちょっ‼恭っ‼」
突然会話に入ってきた、恭が意味深にクスクスと笑う。
くっそーー
恭のヤツ‼
架衣斗の前で変な事言わないでほしい。
怜悧の顔は今や茹でタコのように真っ赤になっていた。
.