男装人生




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「玲李?そろそろ起きないと遅刻しちゃいますよ?」



澄んだ母の綺麗な声がする。
毛布の潜り込み狸寝(タヌキネ)入りする玲李の頭を優しく撫でながら、覗き込んでいた。


「具合悪いの・・・?」


心配そうな声にちょっとだけ顔を上げる。

幼いながらも心配をかけてしまっているという思いで胸が痛かった。

だけどそれ以上に



「今日はお休みしちゃダメ?」


涙目で母を見上げる。


「・・・はぁ・・・今日だけですよ?」


"今日だけ"それが何回続いただろうか。


あの場所に行くことがどうしてもできなかった。




ふと開いた扉の向こうを見ると明李が立っている。
こちらの様子をジッと眺めていた。


何を考えているのか分からないその表情に、いたたまれなくて再び布団の中に潜り込む。




なんて情けない姿なんだろう。



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