男装人生
明日も明後日も、その次の日も…
毎日、何をするでもなく、
ずっとこうして過ぎていくなんて嫌なのに。
「そういえばもう少ししたらお父様が帰ってきますよ。」
「お父様?」
少しだけ布団から顔を出す。
学園の理事長をしているお父様は、とても忙しい。
この間から他の学校の視察に行っていたのだ。
「寝てばかりも身体に良くないだろうし、この間買ったばかりのワンピースでも着てお迎えしましょう。」
母が手を優しく玲李の額にあてる。
「熱もないようですし、お迎え、出来ますよね?」
にっこり笑った母の顔からは玲李に拒否権があるように見えない。
今の姿を一番父に見られたくなかったが、大人しくコクリと頷いた。
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