男装人生
真新しい黄緑色のワンピースに手を通す。
しっかりとした生地の上に薄いフリルが何枚も重なって縫い付けてあり、少し移動しただけでふわりと動く。
デザインも少し風変わりで、今までにないワンピースだ。
たしかこのワンピースはお父様の"お友達"が選んだと言っていたっけ。
"コンコン"
ちょうど着替えが済んだころドアのノックがした。
「はい。」
お母様だろうと、後ろを向いたまま返事をする。
二つの足音が玲李に近づく。
明李もいるのだろうか。
玲李はこの風変わりなワンピースを見せるためスカート部分を少し持ち上げ、くるりと後ろへ回ってみせた。
「お母様、いつもと全然違うでしょ・・・っ⁉」
「うん、可愛いじゃん。」
「妖精(ヨウセイ)みたいですね。」
長くウエーブした黒髪に綺麗な顔をした瓜二つの少女達。
突然の、見知らぬ少女たちに玲李はポカンとした顔で見遣る。
だれなの・・・?
そして、やがてこの状況を悟った玲李の顔は朱色に染まり、両手を体の前で構えながら、後ずさった。
お、同じ年頃の女の子がいるっ‼
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