男装人生


「・・・だれ?」


消え入りそうなほど、頼りない声が出た。
自分と同じような年頃の子となんてずいぶん久しくしゃべっていない。



涙ホクロがある子の方が、突然大きく玲李に向かってジャンプした。
一歩分近づいた距離だけ玲李は後ずさる。


すると、今度は突拍子もなくスキップを始めた。


ひっ


すみっこに行かないように、玲李の周りをぐるぐる回っている。


「何してるんですか…。玲李ちゃんが怖がってるでしょう。」


もう一人の子が眉根を寄せ、服を掴みスキップを制止させた。


「だって、この子、面白いんだもん。近づいたらビクッてなってたよねっ‼」



無邪気な笑顔でそう答える。
なんだかすごく質の悪い子だ。



「全く・・・」



大きな溜息を吐くが、もう一人の子も急いで取り繕(ツクロ)うような笑顔を見せた。

あぁ、苦労してそうだなって感じがにじみ出てる。


「驚かせてごめんなさい。きーがどうしても早く会いたいって言うものだから、玲李ちゃんの部屋まで勝手に来てしまいました。」


優しげな雰囲気に、少し肩の力を抜く。
だがまた、"きー"という子が玲李に向かってジャンプするものだから、より一層固くなる。

「ちょっと‼きー‼」


「うるさいなぁ、あっ、きーってのはあだ名。このうるさいのは"みー"。みーみーすぐ泣くからみーなんだ。」


みーって子の顔がカーッと紅潮し、喧嘩を始めた。


同じ顔の双子なのに、すぐに見分けがつく。

身を固くしながらじっと二人を観察した。


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