男装人生




それにしても、二人とも今までに見たことないくらいの美人だ。

陶器のようなすべらかな肌に、ウエーブした艶やか黒髪。


すっきりとした切れ長の瞳。


お父様の知り合いの子供だろうか?
友人関係など色々な事を話してくれるが、知り合いにこんな子たちがいたなんて聞いたことが無い。


二人が喧嘩しているせいか、目の前の光景は他人事に思えてしまう。

玲李自身も随分(ズイブン)落ち着いてきた。




喧嘩もひと段落着いたのか、きーちゃんって子が玲李にキラキラした瞳を向けてくる。


「行こ?」


「へっ⁉」


突拍子もない発言についていけない。


「きーはお屋敷を探検したいみたいです。」


みーちゃんって子が補足する。
多分いつものことなのだろう。


「こんなに広いお屋敷初めて見たっ‼遊ぼ?」


きーちゃんは玲李のそばに来て、ワンピースをギュッと握っていた玲李の手を取る。
目の前には無邪気な笑顔。


色んな思いが渦巻く。


お父様の知り合いの子なら私がもてなさないといけないだろう。


年の近い子と遊ぶのなんて久しぶりだ。


ど、どうしよう。
うまく遊べるだろうか?

嫌われてしまうんじゃないかと考えるだけで、胸が苦しくなる。


戸惑っていると、今度はみーちゃんが玲李の傍らに来る。


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