男装人生
みーちゃんが来てくれる日曜日になり、玲李は急いで支度をする。
大分小さくなったお気に入りの黄緑色のワンピースを着て、みーちゃんが好きなお菓子を用意する。
最近では夕方に来て1時間ほどで帰ってしまうのだが、今日は朝から待ちわびていたチャイムが鳴った。
ドタバタしながら玄関へ走る。
途中、"お嬢様、廊下を走ってはいけませんっ‼"と明李の家庭教師の声がする。
だが、そんな声など無視して勢いよくドアを開けた。
みーちゃんは一瞬驚いた顔をしたがすぐにクスクスと笑い出した。
「玲李は朝から元気ですね。きーみたい。」
表情は柔らかい。
だけど・・・
玲李はみーちゃんの顔をジッとみる。
目が赤い・・・。
また泣いたのだろうか?
昔から泣き虫だが、最近本当に目を腫らしていることが多い。
みーちゃんの悪い所は、泣き虫な癖に絶対に理由を教えてくれないことだ。
玲李は辛いとき、悲しいとき、泣きたいときはいつだって、みーちゃんを頼ってきた。
なのに、一度だってそう言う姿を見せてくれない。
1人で解決して、泣きはらした目で帰ってくるのだ。
「私は大丈夫なので、そんな顔しない下さい。」
それに、人一倍人の感情に鋭い。
今もすぐに玲李の考えを読み取ってしまった。
まぁ、玲李は分かりやすいらしいが、分かりずらい人の感情まで読み取ってそれに応えようとする。
きーちゃんが言っていた。
みーは将来絶対ハゲるって。
そしてこうも言っていた。
面倒なことを無視できない面倒なヤツだって。
わかるような、わからないような・・・。
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