男装人生
それから競技は滞りなく進み、あっという間に閉会式を迎え、体育祭は幕を下ろした。
さっきまでの賑わいはなく、ガランとしたグランドの脇を箒で掃く。
委員会で走り回っているAクラスの成績上位者ちらほらと、各クラスのクズが集結し、後片付けだ。
委員会の人たちは設営の片付けが主で、その他雑用はほぼクズのお仕事だった。
イベント後のお片付けというのは疲れ切ってやる気が出ない。
「道城くん。疲れたね。」
「え?あ、…そうだね。」
近くで一緒に掃除をする道城くんに声をかけるも、会話がすぐに終わってしまう。
同じクズ同志仲良くしたいが、大分大人しいようだ。
しかも、クズの仕事が相当嫌なようで、仕事のときはどんよりしている。
他のクラスのクズの人たちを見回すも早く終わらせたいのかキビキビとした動きで掃除をしている。
私もちゃんとしないとなと、身体を伸ばしたその時、片足に覚えのある柔らかい感触がした。
え?と思う間もなく首と顔を急いで向ける。
「くるみちゃんっ⁉」
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