男装人生
「なんかあったのか?」
「・・・あぁーなんもねーよ?」
「元気なくないか?」
「普通。」
「いや、なんかちげー。」
「別になんでもねーって。」
しまいにはそっぽを向いてしまった。
珍しく不機嫌そうだ。
こんな圭也は初めて見る。
いつの間にか近くに来ていた恭に目配せる。
そして恭のシャツを引っ張って教室の外に連れ出した。
「アイツどうしたんだろう。」
「明らかに様子がおかしいですね。」
「だろ?実家に帰っただけなのに・・・」
「久しぶりに帰って、反動でホームシックになったとかじゃないですか?」
「んなバカな。」
「圭也ならあり得ますよ。家族大好きですからね。」
いくら大好きだからってあんなになるかな、普通。
圭也が今何を考えているのかさっぱり分からない。
「悪い方向にいかなければいいのですが・・・」
恭の呟きに玲李は首を傾げる。
悪い方向ってなんだろう・・・
玲李より恭は先を読めているようだ。
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