男装人生
ガチャリとお風呂場の扉が開き、圭也が姿を現す。
真っ黒な黒髪に深い深い漆黒の瞳。
あんなチャラついたイメージだったのに、涼し気な奥二重にシュッとした長身が色味が無くなったせいで少し冷たい印象に変わってしまった。
服装も黒のスーツに身を包んでいる。
派手だった色彩が黒く塗りつぶされてしまったみたいだ。
「お、思い切ったイメチェンだな。」
藤原さんの声でやっと目の前の光景が本物なんだと認識した。
お風呂場で黒染めしたのだろう。
「・・・なんか懐かしい。」
凛がボソッとそう言った。
そうか、中学まではこっちが本物の圭也だったんだ。
高校からしか知らない玲李には違和感でしかない。
あの、派手で、ウザくて、チャラくて・・・
明るくて、いつも笑っている圭也はどこに行ったのだろう。
「見た目。元に戻したんですね。」
恭は見た目が変わったことに関してはあまり気にしてないようだ。
玲李は見た目が変わってしまったことで、中身まで戻らなくなるんじゃないかと不安だった。
派手でちょっとウザいくらいが圭也はイキイキしている。
なにより今は生気が感じられないのだ。
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