男装人生


「誰だ。」


警戒しているのか鋭い目つきで睨まれる。

そして口元をにやりと歪ませた。

「抜け出すとはいい度胸だね。」


声変りしていない少し高めの声に似合わない小馬鹿にしたような独特な喋り方だ。

あぁ、こいつも教室の連中と一緒か…

何癖もありそうな雰囲気に見つかってしまったことを早々に後悔してきた。
赤いメガネと表情のせいで、せっかくの綺麗な顔も台無しだ。


「あんただって抜け出したんだろ?」


「俺はいいんだよ。」


「なんで。」


「最近、部外者がそこからこの学園に入り込んでいるらしくて、俺がこの学園の警備をしているんだよね。」


少年が指さすそこは高龍学園と車道を隔(ヘダ)てる壁で何故か子供が通れるぐらいのスペースが開いている。
大人には絶対無理そうだ。

「へぇー。先生に頼まれたのか?」

こんなこと普通生徒にやらせるだろうか?

「個人的に。」

やっぱりな。


「俺と変わらないじゃん。」


「違うよ。・・・それより、君の名前は?」


俺と同じだということは意地でも認めないらしい。
赤メガネに守られた強い瞳は見るからに頑固(ガンコ)そうだ。



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