男装人生


「圭也くんも目立ってますよ。」

恭一がサラリと気持ちを見透かしたような発言をする。
優し気な雰囲気で見過ごしてしまいそうだが、侮(アナド)れねぇな、コイツ。


「確かに。中学部から転校してくるなんて珍しいからね。噂の転校生と希夜が仲良くなるなんて最初はびっくりしたよ。」

壁にもたれ、和やかに架衣斗がそう告げる。
なんでびっくりなんだ?


「希夜は転校生の事良く思っていなかったですしね。」

恭一が綺麗な顔に似合わない意地の悪い笑みを見せてそう言った。

は?
大歓迎って言ってたよな⁉

「気が変わったんだ。」


素早く希夜が口を挟む。
余計なことをって顔をしていた。


「気に入ったんですね。」

「良かったよ。気が合うみたいで。」


そうか。
最初はよく思ってなかったのに俺と出会って、気に入ってくれたのか。
なんだかこそばゆいような感覚に自然と笑顔になる。


「うるさいな・・・」

「希夜!これからよろしくなっ‼」

「ウザい・・・早まったか?」

元気いっぱいになった俺を見て、渋い表情になる希夜。
どう見ても正反対で傍(ハタ)からだと気が合うとは思えないだろう。
だが、俺達は出会ったことを境に確実に仲良くなっていった。


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