男装人生


それからというものお昼の休憩時間はあの場所に行くことが日課になっていた。
クラスにはいまだになじめないでいる。

俺にあの言葉を放った白神ってヤツがリーダー的な位置についていてクラスの雰囲気が最悪なのだ。
俺はクラスの半数と同じように大人しく、目につかないように息を潜(ヒソ)めていた。

あの場所に行くことが唯一の安らぐ時間だった。



「やほ~」

今日はまだ希夜しか来ていないみたいだ。


「君、ホントいつも元気だよね…」


呆れたような顔をしつつも、視線は俺を越えて壁の隙間(スキマ)を監視(カンシ)することで一生懸命だ。

もうかれこれ1ヶ月張りこんでいるが未だに犯人を見ることは無かった。
俺には誰かがここから侵入していたなんて思えないけどな。



「そういえば白神の様子は?」

「は?白神?んーいつも通りだな。」

「じゃあ、もう少ししたら動き出すだろうね。フフフ…」

「えーアイツなんかすんのか?」

「このままDクラスにいれないだろうしね。」


キョトンとした俺の顔が気に入らなかったのか、強烈(キョウレツ)なデコピンをお見舞いされる。

「ぃっってぇ――――っ‼何すんだー‼」

「言っとくけど、君も危機感もった方がいいよ。このままいけば君は学園の高等部へは進学できない。」


「な、なんで?」

もう一発きそうだったので、手で顔をガードしながら聞いた。
もともとこの学園に未練などないが、高い学費を払い中学だけ通うなんて意味がないじゃないか。


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