男装人生


「こ、っこここ高龍寺っ⁉もしかして高龍学園の理事長の息子なのか?」


ワンテンポ遅れて親父が騒ぎ始めた。
こうなるから嫌だったんだ。


「はい。」

「よく来てくれた――――っ‼」


こうなったらもう逃げられない。
希夜は俺の部屋ではなく、リビングに通されることになった。


一通り家族を紹介をし部屋に行くつもりだったが、ねぇちゃん達が希夜を離さない。


「希夜くん。可愛いわねぇ~」

「ホント。ウチの弟は大違い。」

「圭也ったら引っ越してから学校の事全く話さないから友達いないんじゃないかって心配してたのよ~」


3人の姉が希夜の座る左右と後ろを取り囲み、言いたい放題言っているのだ。
これには流石の希夜も困っているのではないかと思ったが、気にすることなく笑顔で対応している。


「和菓子、食べるかい?」

「はい。大好きなので頂きます。」


礼儀正しく、愛想のいい希夜に、ばあちゃんまでも珍しく気に入っているようだ。
学園での希夜を見せてやりたい。

いつもと違いすぎて誰だって感じだし、ちょっと気味悪い。


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