男装人生



「お姉ちゃんたち。そろそろ離してあげたら?希夜くん、びっくりするでしょ?」


お袋がやっとねぇちゃん達をそう促した。
これはチャンスだ。

「そうだよ。てゆーか、俺らは今から勉強しなきゃならないんだよ。部屋行くわ。」


この機会に抜けないとリビングから離れられそうにない。


「え~」

「けち~」

「圭也のあんぽんたん~」

「まだ、いいじゃないか。」


姉と親父の声を無視して、急いで希夜を部屋へと引っ張っていった。


部屋に入ると希夜がメガネを装着する。
するとさっきまで張り付いていた笑顔がすぅっと無表情に変わる。

いつもの希夜に戻ったのだった。


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