男装人生


げっ

部屋に戻ると何故かお袋が希夜と話している。


「ちょっなんで入ってきてんだよ!」


「お母さん、希夜くんと話せてなかったから来ちゃった。」


「来ちゃったじゃねーよ!」


年甲斐もなく来ちゃったと可愛い子ぶるお袋に先ほどの気持ちは吹き飛び声を荒げる。
希夜もドン引きに違いない。
だが、予想に反して稀にみる穏やかな表情で腕に赤ん坊を抱いていた。

「うるさいよ。」

「・・・」


赤ん坊と希夜なんて違和感しかない。
学園での悪魔みたいな顔はどこにいったのやら。


「希夜って子供好きなのか?」

意外だという言葉は抜いて聞いてみた。


「別に。だけど、この子は可愛いね。」


「あら、くるみのこと好いてくれて嬉しいわ。」

くるみは希夜の指をギュッと握ってスヤスヤと寝ている。
自分の妹なのに、こんなにまじまじと見るのは初めてかもしれない。
確かにぷくぷくして可愛いかも・・・



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