男装人生
「はぁ・・・」
希夜の部屋の前で5度目のため息が出た。
いるだろうか、いないだろうか。
私の言葉で付いてきてくれるだろうか、来ないだろうか。
いや、圭也の為に動いてくれるだろうか、どうだろうか。
胃が痛い・・・
「なに。」
「ひっ!」
扉の向こうからの突然の声に思わず小さな悲鳴が漏れる。
心臓が飛び出るかと思ったよ。
なんで誰かいるってわかったんだろ?
やっぱ、アイツ超能力者かなんかじゃないかな・・・
恐ろしいやつだ。
「・・・変な事考えてないで、入れば?」
「ひっ‼」
怪訝そうな希夜の顔が突然現れ、二度目の悲鳴を上げた。
ぐいと手首を引かれ、あっという間に部屋に引きずり込まれてしまった。
心の声まで聞こえるのか?
恐ろしいを通り越して、存在が恐怖だ。
「あうっ」
「君の考えていることが手に取る様にわかるよ。バカになりそうだから、分かりたくないけどね。」
希夜の手が容赦なく私の顎を片手で捕らえ、滑らせた指で頬を挟む。
否応なしに間抜けな顔を希夜に向ける形になった。
く、屈辱(クツジョク)・・・・
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