男装人生



少し長めの前髪から赤い縁(フチ)メガネに焦げ茶に近い瞳が覗く。

大きな猫目が印象的だ。


口元はうっすらと緩く歪んでいた。



彼を見ていたからこけたとは言えず私は固まるしかない。

そんな私を彼はジッと見つめていたが、一瞬だけハッと目を見張る。


私は彼の表情の変化に気づいたが、声さえ出せない有様だから彼を見返すほかない。


やがてニヤリと薄気味悪く笑った。

後ろ姿から想像(妄想?)していた人物像と余りに違う嫌味な笑い方に動揺する。


「ずいぶんと鈍臭い奴が入ってきたんだね?」

「えっ?」

「ふ〜ん。」



値踏みするかのような視線に気づき私は彼をキッっと睨みつけた。


「君がこの学園に相応しいとは思えないけど。フフフ・・・。」


はぁぁぁあああ!?


感じ悪ッ!!!!


なんで初対面の人にそんなこと言われなきゃならないの?

私の何を知ってるというんだ!!



「・・・な、なんでそう思うんだ?」


憤(イキドオ)りを隠し、慣れない男言葉で尋ねる。



< 7 / 407 >

この作品をシェア

pagetop