男装人生
少し長めの前髪から赤い縁(フチ)メガネに焦げ茶に近い瞳が覗く。
大きな猫目が印象的だ。
口元はうっすらと緩く歪んでいた。
彼を見ていたからこけたとは言えず私は固まるしかない。
そんな私を彼はジッと見つめていたが、一瞬だけハッと目を見張る。
私は彼の表情の変化に気づいたが、声さえ出せない有様だから彼を見返すほかない。
やがてニヤリと薄気味悪く笑った。
後ろ姿から想像(妄想?)していた人物像と余りに違う嫌味な笑い方に動揺する。
「ずいぶんと鈍臭い奴が入ってきたんだね?」
「えっ?」
「ふ〜ん。」
値踏みするかのような視線に気づき私は彼をキッっと睨みつけた。
「君がこの学園に相応しいとは思えないけど。フフフ・・・。」
はぁぁぁあああ!?
感じ悪ッ!!!!
なんで初対面の人にそんなこと言われなきゃならないの?
私の何を知ってるというんだ!!
「・・・な、なんでそう思うんだ?」
憤(イキドオ)りを隠し、慣れない男言葉で尋ねる。
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