夏の幻
「あんた!茜ちゃんに会ったのかい!?」

 驚いた顔して聞く田中さん

「どうしたんですか?そんな顔して?」

 田中さんの反応におかしく思う恭介

「あんた!此処の家はね!旦那さんが都会で
 会社起こしたんだけど倒産して借金まみれで
 それを苦に一家で無理心中を図ったんだよ!
 当時茜ちゃんは23歳でよくお肉を買いに来てくれたよ
 夏祭りが大好きで毎年夏祭りに行っては大きな木で
 わたあめやジャガバタを食べてたわ」

「えっ?それ本当ですか!?」

 田中さんの話に驚く恭介

「本当さ、夏祭りの日に毎年必ず参加するんだ
 皆何も言わずに暖かく迎えてあげてるんだ毎年」

 悲しそうな顔して話す田中さん

「そ、そんな」

 驚きを隠せない恭介

「恭介、来年も茜ちゃんと会ってあげてくれよ」

 悲しそうな顔で恭介に言う田中さん

「分かりました!」



 ひと夏に起きた不思議な出来事、あれは夏の幻だったのだろうか?
 俺は夏祭りを来年から彼女の為に来ようと決めた!それが彼女の
 為になるなら何年でも


 


 END
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