キケンな実験室-白衣の王子様-

「いやーねー。あたしは外見が男なだけで、心は正真正銘の女!」

「そりゃ知ってるけどさー」

「あんたなんて女らしくないくせに、胸だけ人並みにあるとはむかつくわね」

「うっせーよ、イッチー」


そんなこんなで疲労倍増させるプロフェッショナルのイッチー氏(心は女)と一緒に帰ることになった。

校舎を出ると、辺りはもうすっかり夜。



「ねーねー。今日はどうだった? 先生はどうだった?」

「んーん。疲れた」

ほんと色々な意味で疲れた。


「ねーねー、先生は? 先生は?」

「……知らん」

あたしは冷たくイッチーの話題を遮断する。


「もっと聞かせてよー!!」

「イッチー、うるさいよ。あたし、疲れてんのー」

「もうっ! 意地悪っ」

ぷんぷんしたイッチーは、相変わらずあたしに腕を絡めたままだ。

< 66 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop