キケンな実験室-白衣の王子様-
よく見る。
観光地で、こうやって腕を組んで歩いているおばさん同士。
「イッチー、歩きにくい。マジで腕離してよ」
振り払おうとしたとき、イッチーの目がめざとく光る。
「これ何!?」
「……ん?」
それは先生が巻いてくれた絆創膏。
「ああ、これ?」
「そう、そうよ」
「理科実験室で怪我した。で、先生が巻いてくれた。それだけ」
「それだけっ!? 大問題じゃないのよ」
イッチーが鼻息を荒くして言う。
「……何が」
「何がって鈍いねー」
「先生が明日も『理科実験室』に忘れないでくるように、って書いたらしいよ。嫌味だよねー」