キケンな実験室-白衣の王子様-
コツン。
あたしは足元に転がる石を蹴りながら言った。
遅刻の罰のストレスを石にぶつけるように。
ちょうどいい位置に石はコロコロと転がり、あたしはそれに向かって次の一歩を踏み出す。
「ノノ、聞いてるの!?」
その石を割り込むようにイッチーが遠くに蹴る。
「ちょっ! その石、あたしのだよ」
「石なんてどうでもいいの!」
「よくないよー。せっかくいい大きさの見つけたのに」
あたしはグーでイッチーを小突く。
「ノノ、小学生じゃないんだから」
「いいじゃん、別に」
あーあ。
石がなくなって、がっかりだ。
がっかりだよ。
家まで暇だ。
イッチーはうるさいし。
イッチーのせいで石がなくなった。