キケンな実験室-白衣の王子様-
相変わらず、ビーカーでコーヒーを飲むのは変わらない。
「先生、汚いよ」
「汚くないよ、使ってないから」
毎日飽きずにこれを繰り返し言い合う。
まあ、でもここでも一つ変わったことがあった。
何だか気を利かせてくれたのか、先生が角砂糖とミルクを用意してくれてる。
「子供だね。ミルクと砂糖ないと飲めないなんて」
「そうだよ、子供だよ。だって高校生だもん」
これもまた毎日言い合う繰り返し。
気づけば、あたしと先生はタメ口になってる時がたまにある。
マッドサイエンティストとの距離が若干縮まったのかな。
最近は試験管とか洗うのも手伝ってくれるっていうか、二人でしてるし。
まーあたしが遅いからなんだけど……。
「このペースじゃ間に合いませんね」
という先生の大きなため息と共に。