紅い山 蒼い月

消えた年金

昨日、祖父が「わしの年金が消えおった~!」と叫んでた。


「おじいちゃん どないしたん?」と私が聞いたら

「わしの郵便局の通帳から年金が全額消えてもうた!」


「ん?ちょっと違うんとちゃう?通帳から引き出した跡があるやん」

「いーや、これは社会保険庁の怠慢や!」

「ちょっと行って来る!」


普段 通帳を管理してるのは・・・と、祖母の方を振り向くと

祖母は「ニヤリ」と笑みを浮かべて台所の方に行ってしまった。


これで良いのか・・・?



祖父は年金手帳も通帳も持たず

自転車に乗って役所に向かった。


今日が土曜日である事も知らずに・・・



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