妖魔06~晴嵐~
俺達はクルトの後に続きながら、姉の下へと続く。

「美咲、俺が死んでからお前は何をしていたんだ?」

美咲の動向が気になった。

「里と町の往復を繰り返してたかな」

「何故?」

「街の様子が変わっちゃったからね。調査と報告。後は里での会議をするため、かな」

「保守派も、大変なんだな」

「改革派の動向を伺う代わりに、他の事が増えたみたいな感じかな」

改革派といえば、湊さんは何をしているのだろうか。

あの人も、後で片付けなければならない問題の内の一つなのだが。

「湊さん、どうしたか分るか?」

「テンプルナイトのボスであるジャックと共に、消えてしまったらしいの」

「消えた?」

「潜入していた仲間の報告によれば、場所だけが残って二人は消失してしまったみたい」

能力を使ったのかもしれない。

「相打ちになったとはな」

湊さんには一度、怪我を治してもらった記憶がある。

美咲の記憶も戻してもらった。

しかし、女性達に陵辱を命令した本人でもある。

複雑な気分だ。

湊さんの考えも、方向的には良かったのにな。

今、何を言っても同じ事だ。

本人がいないのだからな。

そちらの件が本当に終わりかどうかは、俺には分らない。

再び組織を立ち上げる者達も現れるかもしれない。

だが、それは、イヴァンを止められたらの話だ。
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