妖魔06~晴嵐~
幾分か髪が伸びたように見える。

ワイシャツにジーパンというラフな格好だ。

「冬狐冬狐、丞君も一緒でいい?」

「好きになさい」

どっちが親かわからないな。

俺は久遠とジャスミンと共に、家の中に入る。

部屋が片付けられているという事は、最近美咲が掃除をしたというところか。

美咲、お前が一番の母親だよ。

「久遠、すまない。俺は冬狐に話があるんだ」

リビングのソファーでくっつきっぱなしのノー着衣の久遠に話をつける。

「丞君、もっとゆっくりしようよ」

「俺も、久遠と話したい。でも、時間がないんだ」

話が出来るのなら、いつまでも話ていたい。

「そうなんだ」

俺の状況を察したのか、腕を放した。

「悪いな」

俺は椅子から立ち上がり、冬狐の部屋に向かう。

「ジャスミン、久遠の相手を頼む」

「遅い、私を気にかける速度が足らないわ」

ジャスミンが暇そうにしていたので、落ち込んだ久遠のくっつき役に任命した。

「へいへい、じゃあ、頼んだぜ」

冬狐の部屋に行こうと廊下に出たところで、冬狐に会う。

「少しいいか?」

「条件があるわ」
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