妖魔06~晴嵐~
不幸にしないというのはどういう事なのだろうか。

家族、友人、恋人というカテゴリーがある。

それはどれも大切な物で失いたくはない。

自分という単位で見れば、生きたいという気持ちがある。

相手という単位で見れば、死なせたくないという気持ちがある。

生死の関係でいえばそうだ。

家族愛や恋愛や友情などという事は今語るのはよそう。

だからこそ、冬狐が俺に求めた言葉は『守ってやる』の一言以外にないのだ。

もしもだ、俺が消える時まで何もしなければどうなるのだろうか?

イヴァンは俺を殺したとはいえ、何をするかとは言っていない。

世界を破滅に導くのか?

世界を支配するのか?

世界を再生させるのか?

それとも、何もしないまま眠りにつくのか?

一番最後がありえないな。

次に、何故そういう事をするのか。

世界がつまらない。

世界を生かす理由が思いつかない。

世界を自分通りに作り変え、よりよい方向へと導き出す。

自分通りに作り変えるって、どういった方向性に変えるかによってまた印象が変わってくる。

それに対しての解決策は決まっている。

俺が融合して千鶴でとどめを刺す。

もはや、理由を考えたが私怨だな。

思考が脱線してしまったようだ。

「美咲の事を思うのなら、あんたは言うべきなのよ」

「もし、世界が終わる場合、言ったところで意味を成すのか?」

「終わると確定したのかしら?イヴァン=カナシュートがそう言ったのかしら?」

「してはいないし、言ってはいない。だが、危険である事には変わりない。それは冬狐自身も理解しているはずだ」

神にも匹敵するような力を持っている。

それは、気に入らない事は消せるという事だ。

性善説を唱えるほど冬狐も馬鹿ではない。

ましてや、イヴァンならやりかねないほどドス黒い。
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