妖魔06~晴嵐~
「子鉄らしいね」

「あいつは、いつでも変わらないところがいいんだ」

「そうだね」

二人で微笑みながら、時間が過ぎていく。

「じゃあ、俺は行くよ」

「また明日」

「今度は明日があるんだな」

「絶対に、行くから」

「ああ」

俺は背中を向けて帰ろうとしたが、一つ忘れている事を思い出した。

「ジャスミン、帰るぞ」

リビングに入ると、ジャスミンが久遠を抱きしめていた。

久遠は狐になっているんだけどな。

「ふかふかー」

眠りに入ろうとしている。

久遠は安心して眠っているようだ。

二人が仲良くなったようで何よりである。

「ジャスミン、帰る時間だ」

しかし、半分寝ているので声が聞こえていない状態だ。

「全く」

俺はジャスミンをおぶり、久遠を美咲の腕の中に返した。

「じゃあ、また明日な」

「うん」

俺は笹原家から出て行く。

夜も更けてきた。

今から千鶴のところに行くのは迷惑か。

しかし、行かなくてはならない。

それが、最大の目的なのだからな。
< 126 / 278 >

この作品をシェア

pagetop