妖魔06~晴嵐~
「千鶴」

葉桜家の前に立つ。

「千鶴に会うつもり?」

ジャスミンが声を出したのと同時に、飛び降りる。

「会うさ」

「千鶴が嫌といえば?」

「俺達だけで何とかする」

「何とかできないじゃない」

「かもな」

「姉さん、死ぬじゃない」

「かもな」

「どうにか、してよ」

俺だって、どうにかしたい気持ちはあるんだ。

議論していても仕方なく、葉桜家のチャイムを押した。

返事がない。

明かりもついていないという事は、誰もいないのか。

どこかにいるという事なのか。

「中に入るか」

千鶴は無用心らしく、扉は開いている。

自分の家なんだから、問題ないだろう。

屋内は暗く湿っている感じがする。

「以前とは、違うじゃない」

「千鶴」

俺は階段をかけあがり、千鶴の部屋の扉を叩き壊す。

そこにいたのは、三角座りをした千鶴だった。

目の下にクマを作っており、明らかに寝不足を表現している。

ストレスが、千鶴を襲っていた。
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