妖魔06~晴嵐~
「あなた、転移陣の知識なんてあったの?」

「知識だけはな」

俺が龍王から受け継いだのは、結界や陣の知識だ。

欠点は魔力で発動するものだから、魔力自体が存在しない自分では使えないという事。

呪いの後遺症で魔力を吸い込む事は可能だが、個人の能力を使用してる際には別のエネルギーを使っているという事になる。

ちなみに、学ラン戦に見せた波動を放つなどの魔力は、学ランの魔力を利用してるだけだ。

憶測でしかないのだが、地球の生命力を使っているのかもしれない。

後はほとんどが上級で、一般妖魔では負担が大きいという事。

地に陣を描けない場合、さらに負担がかかるという事。

全てにおいて、傍にいる妖魔達には普段から使わせる事が出来ない制約がついているわけだ。

傍に龍姫がいるのであれば龍姫本人の知識があるわけだから、俺が知恵を出す必要性もないのだがな。

「俺には使用できないが」

「私なら出来るって事?」

「可能性は低い」

「何よそれ。私には出来ないって事?」

「ジャスミン、転移陣を使えば一気に体にガタがくるかもしれないんだ」

「構うものですか」

「安易に使わせたくないんだよ」

吟のことを思い出せば、使用させたくない。

「私、姉さんと会えるなら、全然つかっちゃってもいいわ」

「今日言ったろ。お前の行動一つでも、ロベリアが悲しむ事になるぞ。いや、ロベリアだけじゃなく、俺だってお前が弱る姿は見たくない」

「私は、姉さんに会いたいの。さっさと教えなさいよ」

顔を近づける。
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