妖魔06~晴嵐~
龍姫に連れられた先は、ちゃんとした龍姫の世界だ。

そこに待っていたのは、ロベリアだ。

「すまない。待たせたな」

「姉さん!」

ジャスミンが降りると、千鳥足になりながらもロベリアの胸に飛び込んだ。

「おかえりなさい。王子様、ジャスミン」

「ただいま」

ロベリアはジャスミンの頭をなでる。

今は鎧をまとってるせいか、抱きつかれて痛そうだけどな。

子鉄の姿が見えないが、帰ったのだろうか。

手伝うといったのだから、何かしらの行動は取っているのだろう。

「さてと」

俺は袋の中身を見る。

そこには色々な道具が詰め込まれていた。

「これは、ブレスレットか」

説明書が付属されている。

『妖魔のための優れもの。これで瘴気から正気を守る素敵な世界』

すごく、舐めているのだろうか?

これは妖魔にとって暴走を抑えるために作られた物なのだろう。

「次はネックレスか」

『肩こりなんて目じゃないぜ。満身創痍なあなたにはこれで解決』

もう駄目だ。

説明書を見るたびに眩暈すら覚えてしまう。

「まあ、いい。これはベルトか」

『減った魔力はお腹を占めて我慢しちゃいなよ、っていうのは嘘です。ちゃんと回復するよ』

責任者出て来い。

一回殴らなくてはすまない。

「で、これは、指輪か」

『あなたを守りたい。そんな気持ちがある時にはこの指輪。誕生日に上げると喜ぶかもしれないよ?』

最後の最後までブレない説明だったな。

ブレなかったので許してやろう。
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