妖魔06~晴嵐~
記憶を取り戻したのか。

いや、遊び人のことなんてどうでもいい。

俺はコートの胸ポケットにタバコを入れる。

「さてと、進むか」

子鉄に道具を渡した後に足を勧める。

しかし、やっと前に進めるかと思ったところで、もう一人現れる。

「葉桜ああああ!」

それも、俺を攻撃する気満々の野郎だ。

上空からのとび蹴り。

俺はバックステップを踏んで回避する。

そこに降り立ったのは暴走していない犬神刃だった。

「お前、普通の妖魔だろ?」

「テメエだけはぶっ殺す」

刃は苛立ちを隠す事はない。

「刃さん、駄目だよ。今日は丞と戦うために来たんじゃないでしょ」

後ろから到着したのは美咲だ。

「何とか、間に合ったね」

笑顔になって、俺の傍によってくる。

「刃もつれていくのか?」

「刃さんは、世界のためを思って行動してるみたい。後は、自分の子供のためにね」

「笹原妹、テメエは少し黙ってろ」

俺を見つければ怒る癖はどうにかして欲しいものだ。

刃の台詞を借りるならば、面倒くせえんだよな。

「だったら、最初からそういえよ。こちとら、時間がねえんだよ」

邪魔をするのなら、燕がいようがいまいが瞬間で勝負を決める。

しかし、刃に攻撃する意思はないらしく、構えを解いた。
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