妖魔06~晴嵐~
一体、何が起きたというのか。

今まで起きた事のない症状か。

「それとも」

「わぷ!」

背後から突然として、クルトがぶつかってくる。

ここまでは予測の圏内だ。

「何でオラの前にいるだ?」

多分、不思議な顔をしてるであろう。

「テメエで考えろ」

いかにして、空間を操ったか。

空間に存在するニオイと同化しており、空間内に存在している事に気づけないのか。

それとも、別の空間から操っているのか。

「ち、面倒くせえ」

まず、一つ目の目的は果たした。

もう一つ試さなくてはならない事がある。

ある一定の位置に空間移動する場所があるのかどうかだ。

もしあるのならば、敵がいるのではなくそこが原因という事になる。

先ほどクルトが消えた場所の時間と位置を思い出す。

「三分程度、歩いた場所か」

クルトの襟を持ち、前へと歩く。

「な、何をするだ!」

「黙ってろ」

俺だけの力では確実に進む事は出来ない。

俺には魔術を使える知識を持ちえていないからだ。

笹原妹などが傍にいれば、少しは変わっていたのかもしれないがな。

暴れるクルトを抑えながら、三分ちょっと前のところで止まった。

「クルト、ここに穴を開けろ」

「何で、オラがお前のいう事を聞かなくちゃならないだ!」

「ここで俺といたちごっこを続けたけりゃ、自分の殻に閉じこもってろ」

俺はクルトを地面の落とす。
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