妖魔06~晴嵐~
俺はクルトを見下ろす。

クルトは悔しそうな顔をしながらも立ち上がった。

「お前のいう事を聞いたつもりはないだ。これは、オラの意思だ」

「面倒くせえ野郎だな」

「野郎じゃないだ!」

「答えてる暇があったらさっさとやれ」

集中して穴を開けようとする。

穴が開いた先に何かがあるとするのならば、それは正解である。

俺がそう考えてるところで穴が開いた。

すると、何かが角のようなものが飛び出てくる。

何とか反射だけで体を回転させ回避するが、服を持っていかれる。

「ち!」

角と思いきや、先が角のように尖った触手のようなものだ。

うねりながらも、穴から何本も出てくる。

「先読みしてやがったか」

休む暇もなく、一斉に襲いかかってくる。

「な、何だアレは!」

「俺に聞くんじゃねえ、面倒くせえ」

俺はクルトを抱えながら回避するも、俺の腕や足を削っていく。

「テメエ!穴を閉じろ!」

「やってるだ、やってるけど、しまらないだ!」

穴の奥にいる敵が無理矢理こじ開けているというのか。

「面倒くせえ!」

だが、あの敵の後ろには何かがあるという事だ。

俺が求めていたのは、変化だ。

たとえ、そこに敵がいようともな。

「クソが!テメエはぶっ殺す!」

俺は歯をむき出しにしながら、触手を持つ敵をにらみつける。
< 158 / 278 >

この作品をシェア

pagetop