妖魔06~晴嵐~
触手の先には少しばかりだが、光が差している。

答えは必ずしもあるという事だ。

「テメエは俺のサポートに回れ」

俺は駆け出しながらも、クルトを首につかまらせる。

「サポートって、どうすればいいだ!?」

「俺の言うとおりに動け」

周囲はいまだに見えない。

しかし、ニオイと相手を探知できる能力によって、何とか回避を可能することが出来そうだ。

先ほどの回避は本当に偶然に過ぎなかったのだがな。

前方から触手の群れがやってくる。

「あっち向いて、ホイ」

指を下に向けると、触手は足元手前に突き刺さる。

そこから駆け上っていき、迫る角触手達を殴り飛ばす。

軌道と移動速度さえ解れば、叩き落すことは可能だ。

「邪魔すんじゃねえ」

近づいていく事に、触手の数も多くなってくる。

ここでクルトのサポートが役に立つのなら、後々楽になる。

期待できるか。

「穴を前方に開け」

クルトは状況が状況だけに反論する事はない。

ただ、俺の首につかまりながら、集中している。

そして、俺の前に穴が開く。

角触手は開いた穴に突っ込む。

「それでいい」

俺は空中に穴を回避しながらも、大本付近まで辿り着く。

「くたばれ」
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