妖魔06~晴嵐~
「はあ、はあ」

俺は苦しいながらにも立ち上がる。

女は倒れながらも目は開いたままで、笑う。

「きゃひ、いい、あなたのおかげで子宮が痺れるわぁ」

ほぼノーモーションと言わんばかりに立ち上がった。

まるで、後ろから誰かに押されたかのような立ち上がり方だ。

「ねえ、あなた、何で立てるのぅ?」

「改革派、なめんじゃねえ」

改革派で状態異常の訓練をして耐性を作ってきたとはいえ、能力だけあって特殊な毒か。

「きゃひ、きゃは、改革派、面白いわぁ」

「黙れ」

俺は鈍くなった体を推し進める。

「それでぇ、勝てるのぉ?」

「だるまさんが、転んだ!」

体を回転させながら詠唱し裏拳を放つ。

顔面にモロに裏拳が決まり、女は真横に吹っ飛んだ。

「いったーい」

壁にぶつかり、頬を押さえて何事もなかったかのように立つ。

「でも、気持ちいい、今までで最高よぉ」

「はあ、はあ」

さらに、体の具合が悪くなっている。

「あらぁ、クルトぉ、お兄さん、やヴぁくなぁい?教えてあげたらぁ?」

クルトは冷や汗を垂らしながら、口を開く。

「早く、姉さんを倒さなければ、お前は死ぬだ」

「面倒、くせえ」

体が非常に重い。
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