妖魔06~晴嵐~
腹の一部を持っていかれたようです。

私の口からは血が溢れ出てきます。

「おや、腕を伸ばす曲芸なんて持っていたんですか」

逃げた距離は間違っていなかったとすれば、風間さんの腕が伸びたといっていいでしょう。

予測ですが、彼は肩の関節を無理やり外したのではないかと思います。

そのまま、間合いを詰めます。

「状態異常も効果ありませんか」

これは私が死地に迎え入れられそうですね。

「こんなにも、楽しく死地に行ける戦いがあったとは思いもしませんでしたよ」

私の口はつり上がりながら、両手にナイフを装備します。

「さて」

そのナイフを一本投げつけるのと同時に、バックステップで距離を離します。。

「同じ事をしてどうなる!」

拳で叩き落そうとすると、爆発します。

「火薬の味はおいしいですか?私としては火薬よりもカレーパウダーのほうが好きなんですがね」

風間さんは煙幕の中から飛び出てきます。

多少、火傷は負っていますが、死地にはほど遠いようです。

「神は言うだろう。お前が死ぬ事は運命だと」

「こういうのも何なんですが、敵に背中を見せる余裕があるのは、背中の敵を倒せる自信がある人だと思うんですよ」

「鉄球では私を殺すことはできない」

「そうですね。あなたの言うとおりだと思いますよ」

念のためでしょうか。

彼は背後を振り向きます。

次の瞬間、普通の鉄球とは違う鉄球が風間さんを捉えました。
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