妖魔06~晴嵐~
鉄球の周囲には風が渦巻いています。

危機感を感じたのかもしれません。

鉄球を潰そうと拳を振るった瞬間、何もないところで曲がり胸にめり込みました。

周囲の風が風間さんの体を削っていきます。

「ぐ」

そして、心臓部位にたどり着こうとしたところで風は消えました。

「私の本当の力は、鉄球よ」

風が終わっても鉄球は回り続けます。

「おお」

風間さんが鉄球をつかもうとした瞬間、私はナイフを投げつけます。

しかし、相手にしないかのように、彼はナイフを無視して鉄球をはがそうと集中します。

ナイフは背中へとあたります。

「今日からダーツ選手権で1位でも狙いましょうか」

私が投げたナイフは魔力発散ナイフです。

風間さんが人間であるならば、意味をなさないでしょう。

しかし、信仰する神とやらの力をもらってしまった事で、風間さんは人間を止めてしまいました。

そう、神であるイヴァン=かなシュート君は、妖魔である事には変わりありません。

妖魔の力が加わっているとするのならば、魔力発散ナイフの効果は発揮されるはずです。

魔力を失った風間さんは腕の力を失い始めます。

鉄球はどんどんと心臓に食い込んでいきます。

そして、先ほどのように心臓を止めるだけではなく、心臓を破壊します。

風間さんは倒れ、動く気配はないようです。
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