妖魔06~晴嵐~
「兄さん、美咲さん、ありがとう」

「千鶴ちゃんも私と親戚だし家族じゃない。だったら、守るのも当然だと思うの」

「だから、お互いを支えあうんだ」

「うん、私も兄さん達の支えにならなくちゃ」

千鶴が意気込んだところで、鎧を着用する。

「来たか」

周囲にはたくさんの存在がいる。

暗闇を切り裂くように明かりがつくと、俺達は囲まれていた。

「そんな」

美咲は愕然とした表情を見せている。

「こいつはきついかもな」

「ちょっと、これはないんじゃない?」

ジャスミンですらたじろいでいるようだ。

その理由は、俺達の周囲にいるのは多くの大妖魔達だからだ。

俺達を壊すために一転に集中させたのだろう。

動物や昆虫や恐竜や化け物の姿をしていたものもいる。

研究所にいた頃とは、違う。

相手は、大妖魔なのだ。

なぜ、これだけの大妖魔が集まっているのか。

「暴走しているところで、言う事を聞かせたのかもしれない」

美咲が解説する。

「そんな技術まであるのかよ?」

「暴走しているのなら、周囲にいる妖魔達を攻撃するもの。それにこんなにいるのなら反発する妖魔が出たっておかしくはない。だとしたら、暴走させてから操るってのが理にかなってる」

意思がある内から操るっていうよりは術にかけやすいかもしれないな。

解説はいいのだが、今は状況をどう切り抜けるかが問題なのだ。
< 183 / 278 >

この作品をシェア

pagetop